MY FAVORITE & RECOMMENDATION

映画、コミック、本から、お薦めものをピックアップ!

<< May 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
# スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | | category: - |
# アニメ映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』、見ようで見え方が変わるさま、万華鏡の如し
JUGEMテーマ:映画


 『伏 鉄砲娘の捕物帳』は、キャラクターの視点で見方が変わる作品。浜路で見れば恋物語。信乃で見れば孤独と狩られる運命との戦い。浜路と冥土のお祖父ちゃんを重ねれば、ジジコン娘の家族話。道節で見れば、お江戸浪人物語。色彩豊かなワンダーランド「江戸」でコマゴマ動く彼らはまるで箱庭の中にいるよう。

 さて、伏という存在。滝沢馬琴が伏の運命を哀れんで、その創作力で伏を江戸の町に潜り込ませた。『南総里見八犬伝』は伏を江戸の民に認知させる方策。しかし伏の敵である里見義実の権化・村雨丸は、江戸と徳川家の安泰を望む家定に伏狩り令を出させる。伏が入り込んだ時から江戸は「物語」となったのか。伏が消えた時、江戸は「現実」に戻るのか。

 桜庭一樹の原作『伏 贋作・南総里見八犬伝』の入れ子構造は、滝沢馬琴の口述する『南総里見八犬伝』が江戸に「伏のいる世界」を作り、さらに冥土が「浜路と伏(信乃)の物語」を作るところに引き継がれている。
 最後、「現実」に戻ったかに見える江戸に舞い込んだ一通の手紙。それは虚実どちらの世界のものか。いや、その前に犬山道節が大山道節であるところ、そもそも滝沢馬琴の世界は成立してなかったのではないか……。とかとか、でもこれは私が観た映画の感想だから、見当外れにすぎるかもよってね(笑)。

 私の感想はともかく、とても面白い構造を持った作品だと思います。浜路の心の動きを追うだけで、その恋心にドキドキしちゃうし。信乃の孤独を想像すれば、絶望的な気分になれるし。そして、考えて観始めるとドツボにはまるというね。だから既存のアニメ映画にはちょっとない作品だと思うのですよ。


<追記>
 前述の「入れ子構造」は、「江戸」という箱の中に滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』、その中に深川一座の『贋作里見八犬伝』、その中に冥土の『伏 贋作里見八犬伝』があるという感じ。

 さて、「虚」と「実」の話をしましたが、今回は「真」と「贋」の話をば。
 滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』は、伏姫が八房の子を宿したと疑われ、割腹して潔白を証明。傷口から出た気が伏姫の持つ数珠玉8個にそれぞれ仁義八行(仁義礼智忠信孝悌)の文字を刻み、それらが飛散するところから始まります。その玉を宿して宿して生まれた子が物語の主人公となる「八犬士」。
 深川一座の『贋作里見八犬伝』は、伏姫と八房の間に子どもができ、その血脈が「伏」となったという話。実際に信乃たち、伏がいますから、ここで『南総里見八犬伝』が虚で、『贋作里見八犬伝』が実という転換が起きます。馬琴があえて伏が人間と犬の血を引く一族という事実を伏せて書いた『南総里見八犬伝』が先に世に出たため、真実を書いた『贋作里見八犬伝』が贋作になってしまったという構造。
 でも、映画の始まりは冥土の「陸奥の国」で始まり、最後は結末を書いて『伏 贋作里見八犬伝』のタイトルで終わる。映画そのものが冥土の創作であるのなら、それが「贋」で、やはり『南総里見八犬伝』が「真」かもしれない。と、ぺろりぺろりと真と贋がめくれるのが、この映画の面白さのひとつじゃないか、と。

 早い話が本来対立するはずの二項を曖昧模糊に溶かしてしまう物語のように感じるのです。男と女、狩る者と狩られる者。清と濁(潔癖症の殿様が住む江戸城と煩悩渦巻く穢土の吉原)、真と贋、虚と実……。

  で、ここまで虚と実、真と贋について語って来ましたが、実はどちらの解釈にも穴がある。きれいに説明できないところが、この映画のやらしいところなんですよ。
  ただ私のように理屈っぽい人間には、面白い思考遊戯の題材です。考えれば考えるほど玉葱の皮を剥いてる気分になるので、興味のある方はぜひ。

 え、この映画の一番の見どころですか? 本音の本音ですか? それはもう「信乃の首筋には牡丹の花が、馬加の頬には彼岸花が咲いている」ってところですよ!


『伏 鉄砲娘の捕物帳』:http://fuse-anime.com/

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 03:26 | category: Animation |
# アニメ映画『ももへの手紙』は映像も物語も島が点在する瀬戸内ならではの作品
JUGEMテーマ:映画


  初監督作品『人狼 JIN-ROH』とは打って変わり、都会から瀬戸内の島に来た少女と妖怪たちの爐つき合い瓩鬚曚里椶離織奪舛派舛い寝浦啓之監督のアニメ映画『ももへの手紙』。
 細谷佳正さんは電話屋の役で、セリフは二言くらい。広島弁が画面にいい感じに溶け込んでました。ももの母役の優香さん、妖怪三人衆の西田敏行さん、山寺宏一さん、チョーさん他、出演されている「大人組」は演技が映像に馴染んでいてステキでした。
 それだけに、もも役と島の子どもでももの同級生の陽太役のキャストさんがちょっと残念。たぶん制作側は少年少女の気負わない自然な言い回しを望んだのでしょうが、キャラの表情がアニメならではのオーバーアクションなので、芝居がかってるキャラから自然な(棒読みっぽい)言葉が出てくるのに違和感を覚えてしまいました。

 アニメ作品のキャストに俳優を起用するのは、「このキャラにはこの人の声・演技でないとダメ」という強いこだわりがある場合はアリだと思います。
 でも、そもそもアニメ作品は実写作品と違って、どんなに自然な言動を描こうとしても、アニメーターの思い描く「演技」から逃れられないわけです。だから、たとえば自然さを求めるなら、「自然な演技」という演技ができる人でないとダメだと思うんですね。アニメ絵というのがそもそも不自然なので、それを観る人に「自然だ」と思わせるには、声のトーンや話し方をどう操ったら自然に聞こえるのかというサジ加減が必要になってきます。
 それってかなり高等な技術だと思うので、舞台や実写作品で演技が上手だからといって、それが声だけで演じる声優として通用するかというと、違うと思うんですね。テレビならまだしも、映画はお金を払って鑑賞しますので、「なんかちょっと……」と思いながら観るのは損した気分になるんですよ。

 『ももへの手紙』に関しては、主役を取り巻く方々の演技、特に妖怪三人衆が際立ってすばらしく、面白かったですし、ももも感動した「しまなみ海道」の島々の連なりや海と緑と空が織り成す風景、昭和の懐かしさを感じる街並みなど、映像はほんとに美しかったので、損をしたとはまったく思いませんが……。

 『ももへの手紙』、私の感覚では「沖浦監督はこういう作品を作りたかったのか!」と少々意外な気がする御伽話。広島県にルーツをお持ちとあって、瀬戸内の島の空気が見事にスクリーンに充溢していました。
物語は単純明快ですので子どもにも、昭和が懐かしい世代にも、妖怪好きにもお薦めの映画です。


 『ももへの手紙』サイト:http://momo-letter.jp/

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 08:22 | category: Animation |
# 私的「神アニメ」、『宮澤賢治 銀河鉄道の夜』はここがすごい!

 それは闇を切り裂いて出現した風景。夏の午後2時の陽射しを浴びて、青空の下、はるかに広がる緑のなかに黄色が際立つトウモロコシ畑。その空間にひそりと現われたプラットホームの上空には、古びた大時計。左右に大きく揺れる振り子が、ゆったりとしかし厳粛に時を刻む。
 明るい光は客車のなかにも充ち満ちて、乗客たちはゆるゆるとした微睡みに沈む。彼方に湧き上がった音は、どこかなつかしい調となり、鼓膜をくすぐる。その曲、アントニン・ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。

 1985年に劇場公開された杉井ギザブロー監督によるアニメ映画『宮澤賢治 銀河鉄道の夜』。そのなかで特に忘れられない映像が、「新世界交響楽」のシークエンスです。
 カッチカッチと時を刻む振り子の音が聞こえるにもかかわらず、時間が止まったように感じる、まさにエーテルに包まれたようなやわらかな重みのある静寂。大きな緑の葉に包まれたトウモロコシの実の、まるでフィンセント・ファン・ゴッホのひまわりの黄色のような鈍い鮮やかさ。青い空と緑と黄色のトウモロコシ畑の三元の色の境目からまるで雲のように湧きたってくる「遠き山に日は落ちて」、もとい「新世界より」第2楽章ラルゴ。
 それは、「夏の午後の静謐」と名付けたいような一枚の「絵画」として、劇場で観たときから25年が経った今も私のなかでひとつの原風景になっています。

 『宮澤賢治 銀河鉄道の夜』は、まずVHSで購入し、次にDVDに買い換え、おりおりに鑑賞している、私にとっての「神アニメ」。
 なにがいいかって、まずはその世界観を決定づけている、イラストレーターの塚本馨三と馬郡美保子(まごおりみほこ)による背景美術! 現実にありそうでなさそうな、確かな存在感があるのに、夢のなかの風景のような危うさを感じるところは、ルネ・マグリットの不可思議な風景画のよう。街角に人の気配があるのに、建物や自然物が織り成す光と影と色がしんとした生命のない無音を奏でるさまは、ジョルジョ・デ・キリコの形而上絵画のよう。

 闇のなかで光に照らされて浮かぶススキの穂、それ自体が小さな炎を抱えた紫水晶のランプのように輝くリンドウの花。化石化したプリオシン海岸と、120万年という時間に押しつぶされていく白鳥座の町。打てば響くような沈黙と影に無気味に沈むアルビレオの観測所。そして先述のトウモロコシ畑……。
 アナログならではのやわらかなタッチの背景画に、星座を形づくる一等星、二等星、三等星を表わす三角標が現れては消える。その三角標の大胆な解釈……デジタルっぽく図形化された光による演出がまたすばらしい!

 もともとイマジナティブな原作小説について、ここまでイメージを広げることができるのか、ここまで表現できるのかという、想像力の限りのなさを教えてくれる映像。
 さらに耳から不可思議な現象を構築してくれるのが、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を「散開」した細野晴臣の音楽。絵で描かれた「幻想第四次」の世界を、より「知っているようで知らない、懐かしさと同時に初めての驚きを感じる、身近にありそうなのにこの世ではあり得ない」空間へと昇華させています。
 小説という表現方法のなかで、ここまで音の描写にこだわった作家は少ないんじゃないかと思われる宮沢賢治。細野氏のエキゾチックでエスニックな「宗教や民俗学など神秘的な趣味」(wikipedia)が遺憾なく発揮された音は、きっと賢治の耳にかなったに違いないと思える。それほどに原作小説と合わせて聞いても違和感のない、完成度の高い曲の数々。
 この2点だけで、『宮澤賢治 銀河鉄道の夜』は充分に魅力的なのですが……。

 ストーリーについては、賢治が物語にこめた思いを大切に拾いつつ、かなり大胆なシーンの取捨選択がされています。
 特に注目すべきは、「讃美歌三〇六番」(讃美歌三二〇番)の扱い。アニメオリジナルの通信技師が雑音だらけの「三〇六番」の歌詞を耳にするところから、中盤のクライマックスが始まります。原作小説では「パシフィック」「氷山」というキーワードで連想を促すタイタニック号の沈没を劇中劇のように描き、実際にあったエピソードである、沈没時に歌われた「三〇六番」をここで流すことで、灯台守の「ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら、峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから」という言葉につなげる、怒涛のち静寂の展開。
 このとき青年と灯台守の間で交わされた「死生観」は主題となり、蠍の火のエピソード、そしてカムパネルラの涙とジョバンニの「僕はもう、あのサソリのように、ほんとうにみんなの幸いのためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない」というセリフにリフレインされていきます。
 音がつけられる映像作品ならではの演出ですね。『宮澤賢治 銀河鉄道の夜』において、「讃美歌三〇六番」は、その美しい旋律と死の悲哀を神のもとへ行く喜びに転化する歌詞の両方で、「銀河鉄道」という存在のテーマ曲になっているように思います。

 そして、なにより私にとってよかったのは、タイタニック号から銀河鉄道に乗ってきた青年と子ども二人以外は、みんなネコの姿をしていること! これは、ますむらひろしが描いたマンガ『銀河鉄道の夜』を原案にしてるからですが、おかげで登場人物のイメージが固定化されずにすみました。
 もしジョバンニとカムパネルラが人間の姿で描かれていたら、それがどんな姿だったとしても「なんか違う」という気持ちがつきまとって、アニメ版はもちろん、原作小説も楽しめなくなっただろうと思うのです。
 劇場公開されたときは賛否両論あったそうですが、私はネコで正解だったと、とてもありがたく感じています。

 エンディングの常田富士男の朗読による、賢治の詩集『春と修羅』の「序」の一節に到るまで、原作についての熟考と映像化するうえでの計算が行き届いた作品。ここまで原作について研究されたアニメ化作品は、最近では細田守監督の『時をかける少女』くらいかなというところで、『宮澤賢治 銀河鉄道の夜』は私にとって稀有なる「神アニメ」なのです。


JUGEMテーマ:漫画/アニメ
| comments(0) | trackbacks(1) | 09:33 | category: Animation |
# 水面に沈む紅葉をすくい上げる刀刃……アニメ『さらい屋 五葉』

 今期のドラマ・アニメで「絶対に見逃さない!」という勢いで観ているのが、『新参者』と『さらい屋 五葉』。『龍馬伝』と『おみやさん』と『怪物くん』は、ちょうど家にいて、時間が合えば観ています。
 アニメのエアチェックがぐっと減りました。仕事がアニメから離れたためか。今期だけのことなのか(今、自宅で仕事しているので、あんまりテレビをかけないのです)。

 さて、『さらい屋 五葉』。時代小説も時代劇も時代アニメも滅多に読まない観ない私が、珍しくハマっています。
 アニメ制作がマングローブと聞いたときに、『サムライチャンプルー』をつくった会社だから和装の動きはどこよりもバッチリだろうし、『スカルマン THE SKULL MAN』的なダークでドライな画面も期待できるなあ、と。監督の望月智充は、マニアックな作品でもそのエッセンスをうまくすくい上げて、一般の視聴者にも入りやすく再構成するのに長けた方。キャラクターデザイン・作画監督の中澤一登も、『サムライチャンプルー』のキャラクターデザイナーで、人物の描き方、動かし方に独特の色気や面白味がある方。
 ついでに、『さらい屋 五葉』の原作者であるオノ・ナツメはその作品に熱心なファンが多いマンガ家で、業界内にもハマっている人が多数。去年、アニメ化された『リストランテ・パラディーゾ』は、アニメ制作スタッフの愛をそこかしこに感じる作品に仕上がっていました。
 だから、今期、これだけは観ないとなあと思っていたんです。

 そして、予感したとおり、やっぱり面白い! 原作マンガの乾いた白黒の世界を、カラーでありながら、決してハデに陥らず、どこか乾いた雰囲気によく再現していると思います。

 時は江戸時代のいつごろか。藩主から暇を出され、本家の叔父に任された仕事も辞した秋津政之助(まさのすけ)は、江戸で浪人として暮らしていた。生来の上がり症から人前で刀を振るうことができず、長身を誇りながらも猫背の彼は、「頼りなさ」「気弱さ」全開。商家の用心棒の職を希望しても、二、三日でクビにされる始末。借金を抱えた実家への送金どころか、その日の暮らしにも事欠く彼は、偶然知り合った弥一(やいち)という青年の「用心棒として雇いたい」という言葉に、渡りに舟と乗ってしまう。
 実は弥一は「五葉(ごよう)」という賊の頭目だった。五葉は、旗本や商家から子息を誘拐して身代金を奪う「さらい屋」で、お上に訴え出ることができない悪行三昧の金満家を狙うため、手配されるどころか、市中でその名が噂になることもなかった。メンバーは弥一のほか、妖艶な美女のおたけ、ひとり娘と居酒屋を営む梅造、無口な飾り職人の松吉。それに、自宅を人質の隠し場所に提供している、「ご隠居」と呼ばれる老人。
 人目さえなければ剣の腕は達人級の政之助を見込んだ弥一は、(「見ていて飽きない」という理由で)彼を五葉に引き入れようとする。実家の借金のため、悩みながらも関わっていく政之助。お人好しの彼の野暮な言動が油断させるのか、五葉の誰彼が隠してきた素性や過去を語り聞かせることもしばしば。また、十年以上前に隣家の旗本屋敷で起こった子息の誘拐事件と、使用人としてその子息の世話をしていた親友の死の謎を調べる与力・八木平左衛門も、弥一に探りを入れるため、政之助を利用する。
 政之助の誠意は五葉の意外な絆の深さを暴き、そして自覚のないまま弥一を立場的にも精神的にも追い詰めていく。

 アニメで特に注目しているのが、政之助が刀の鯉口を切るシーン。重みと色気を感じるのですよ。
 実家にある弟の五月人形には、弓矢と対で飾り太刀が付いていました。革包の鞘や柄の拵えは金具から下緒まで本格的なものでしたが、刀身はもちろんおもちゃ。でも金属製だったので、結構な重さがあったのです。飾るたびに汚れなどの異状がないか抜いて調べていたのですが、その鯉口を切るときに、当然のことながらハバキの抵抗を感じるわけです。左手で持っているときより、右手で柄を持ち、左手の親指で鍔を押したときのほうが、刀が重くなるような……。
 「侍は鯉口を切ると、スラリと抜き放った。鞘から滑り出た刀身が、月光を弾いて一閃する。」と書くより、「侍は鯉口を切った。親指が鍔を押す一瞬、感じたそれは、命の重みか。相手の、あるいは己の。スラリと鞘を滑り、抜き放たれた刀身が、月光を弾いて一閃する。」とかなんとか、ひと呼吸分ほどなにか欲しい、そんな感覚。
 間を取るわけでもなく、スローで見せるわけでもない。でも、アニメの政之助の抜刀には、なんとなく、その「ひと呼吸分の重さ」が感じられるような気がするのです。さらに、いつもは猫背をさらに縮めるような、おどおどとした政之助が、ひとたび刀を抜けば、美しいほどの剣舞を見せつける、その色気にも参りました。
 ちなみに、今までのところ、第1話と第6話にしか、刀を抜いた政之助は出てきませんけどね(一応、時代物。一応、浪人が主人公)。
  
 アニメはフジテレビの「ノイタミナ」枠で第7話まで放送。全12話の予定。弥一の回想として、旗本・三枝家の子息「誠之進」と使用人「弥一」の関係、そして「誠之進」の誘拐が描かれたということは……。盗賊の白楽(ばくろ)とその一味だった「霧中の誠」のこと、裏切り者として追われる弥一のために政之助がついにヤッてしまうところまで放送するのかな? あと5話分でそこまで行くんだろうか……。

 オノ・ナツメの原作もお薦めです。『さらい屋 五葉』(小学館/IKKI COMIX)7巻まで発売中。


「TVアニメ『さらい屋 五葉』公式サイト」
http://www.goyou-anime.jp/



| comments(0) | trackbacks(0) | 04:42 | category: Animation |
# 夏目友人帳 1 【完全生産限定盤】
JUGEMテーマ:漫画/アニメ


 7月から始まったアニメ新番組で「これはいい!」と思ったのが、『夏目友人帳』。原作マンガ(『夏目友人帳』緑川ゆき 白泉社/花とゆめコミックス)のほうは、なぜか1、3、5巻と奇数巻だけもっているという状態だったのですが、仕事で必要になって2、4、6巻を買い足しました。すると、偶数巻のほうがおもしろかったという。それなんて読み違い…… orz。

 マンガでは、リアルな頭身の登場人物のなかに、招き猫の形で固まってしまった妖怪・斑(まだら)こと「ニャンコ先生」の置き物みたいなおかしな造形が収まっていて、違和感はあるものの「そういう作品」で納得できていたんですね。でもアニメで動いたときに、八頭身のシリアスなキャラのなかで、ギャグみたいな招き猫が浮くんじゃないかとちょっと心配していたのですが、杞憂でした。主人公がわりとモノローグの多いボンヤリさんなもので、ニャンコ先生がいい味つけになって、まさに「ふたりでひとつ」な感じになっています。
 また、斑の本体がかっこいいしね! 斑にまたがる夏目、超かっこいいよ!! 斑のケモノっぽい動き(特にステキ尻尾の動き)や夏目の神秘的な名前返しの術、ニャンコ先生のコミカルな動作は、アニメならではの楽しさですね。

 原作で気になるエピソードが次々に描かれるようなので、大期待。すでに第1話のヒシガキ、第2話の露神の話で涙、涙なのですが、さらに燕の話とか、アノ話とか。原作の泣きどころを、アニメでもしっかり押さえてくれているみたいなので、該当話数はハンカチ片手に観ることにします。

『夏目友人帳』アニメ公式サイト
http://www.natsume-anime.jp/

テレビ東京・あにてれ『夏目友人帳』サイト
http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/natsume/
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:21 | category: Animation |
# 光すらゆがむ果てしなき宇宙へ『キャプテンフューチャー』

 本年3月3日に声優の広川太一郎が逝去されていたのですね。アーサー・C・クラークもそうですが、広川氏も私の子ども時代、あの好奇心旺盛だった時代の象徴的な存在でした。なんと言っても、NHKアニメ『キャプテン・フューチャー』のヒーロー、キャプテン・フューチャーことカーティス・ニュートンの声を当てていらしたのですから。
 
 『キャプテン・フューチャー』は、エドモンド・ハミルトンが1940年に発表し、短編を含めて1951年まで執筆を続けた、SF黎明期のスペースオペラ。私が読んだのは高校時代、ハヤカワ文庫SF(早川書房)から出版されていた文庫版です。
 2004年より「キャプテン・フューチャー全集」全11巻が創元SF文庫(東京創元社)から刊行されたのは、以前にもお知らせしたとおりです。

 この作品を知ったのは、1978年11月〜1979年12月にNHKで放送されていたアニメからでした(全52話/『未来少年コナン』の後番として放送)。コメット号を駆り、いろいろな星に赴くフューチャーメンの活躍に心躍らせ、容姿も行動もハンサムで、でも弱点もあるカーティスに惚れ込み、毎週の放送が待ちきれなかったことを覚えています。

 カーティスは「太陽系最大の科学者にして冒険家、最高の宇宙船操縦士」と称えられる、いわゆる天才型ヒーロー。幼いころ、父母を悪漢に殺され、月でサイモン教授やグラッグ、オットーに育てられたという過去があります。長ずるまでまわりに女性がいなかったため、女性にはどう接していいかわからず、ギクシャクしがち。
 カーティスを育て、のちに頼もしい仲間としてコメット号の乗員となったのは、まず「生きている脳」ことサイモン・ライト教授。彼はカーティスの両親の研究仲間だった科学者で、死期が近づいたとき、カーティスの父、ロジャーに頼んで自分の脳を取り出し、漿液が入った透明なケースに収めました。自分では動けませんでしたが(グラッグとかに持ち運ばれていた)、のちに自力移動が可能になります。彼がカーティスを「坊や」と呼ぶのが、もうのたうちまわるほどたまりませんv(ああ、ここでも妙な「血のつながりのない親子萌え」が……)
 さらに、ロジャーとサイモンがつくり出した「人造生命第一号」ことロボットのグラッグ、やはりふたりの研究成果である「人造生命第二号」こと合成樹脂製のアンドロイド、オットーと、彼らのペットであるイイクとオオグ。以上が、「フューチャーメン」です。

 そして、カーティスと出会い、さまざまな事件に遭遇するうちにほのかな恋心を抱くようになる、惑星警察機構第3課の女性諜報員、ジョオン・ランドール。その上司であり、惑星警察機構第4課(惑星パトロール)の司令であるエズラ・ガーニー(フューチャーメンに協力的かつ紳士的なエズラ司令にも、密かに「おじさま萌え」していましたv)。

 こうした、カーティスを取り巻く個性豊かでにぎやかな人間関係と、訪れる星々の住民たちの特殊な暮らしや政治形態の描写(それは、当時にあった現実の政体や社会への皮肉にもなっています)、カーティスの父母を殺したヴィクター・コルボと因縁のある「火の魔術師」ウル・クォルンをはじめとする敵との戦いが見ものでした。

 NHKで放送されたアニメでは『キャプテン・フューチャー』『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』『ニルスのふしぎな旅』が、私の永遠のベスト3です。

 基本的におだやかで、人当たりのいい青年。ときに厳しく、ときに不器用という、正統派ヒーローのカーティスを好演されていたのが広川氏。明るくて、さらに深く響く、男性らしい「いい声」は、間違いなくカーティスの大きな魅力のひとつでした。
 『宇宙戦艦ヤマト』の古代守、『ラ・セーヌの星』の「黒いチューリップ」ことロベール・ド・フォルジュ、『ムーミン』のスノーク、(犬の)『名探偵ホームズ』のホームズなどなど、今でもキャラクターと声を同時に思い出します。
 寂しいですね、本当に。衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。

東京創元社「キャプテン・フューチャー全集」特設サイト↓
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0402_00.html

JUGEMテーマ:漫画/アニメ

| comments(0) | trackbacks(0) | 07:02 | category: Animation |
# 痛みを感じる人工生命体『ゼーガペイン』

 最近、録画していた『ZEGAPAIN -ゼーガペイン-』を観て、どっぷりハマッてしまいました。現在もマイブーム継続中です(笑)。

 『ゼーガペイン』は、サンライズ制作のロボットアニメ。今年4月〜9月にテレビ東京系列で放送されました。
 Xbox 360対応ゲームソフト『ゼーガペインXOR』と『ゼーガペイン NOT』の発売に合わせたメディアミックスプロジェクト「プロジェクトゼーガ」から生まれた作品で、ゲームと同じ世界観を共有しています。ちなみにゲームの主人公は、アニメ版の最終話近くに出てきたドヴァールカー所属のザーガペイン・アルティールのガンナー(パイロット)、トガです。
 タイトルの『ゼーガペイン』には、キャッチフレーズの「消されるな、この想い 忘れるな、我が痛み」を受けて、“是我痛(これ わが いたみ)”という意味がこめられているようです。

 以下はネタバレを含みます。「これから観る」という方はご注意ください。



 40年前に人類が滅亡した地球。死滅する寸前、人類は自らをデータ化し、各都市に備えられた量子コンピュータのサーバーの中に避難しました。データと化した人類は老いることも死ぬこともなく、量子コンピュータが見せるヴァーチャルな町の中で、滅亡する前と変わりなく、マンションに暮らし、学校に行き、コンビニで買い物をし、レンタルビデオを楽しむ生活をしていました。
 ただ量子コンピュータの容量に限界があるため、ヴァーチャルな世界は5カ月でループし、人類は同じことが起こる5カ月間を100回以上も積み重ねてきました。でも誰も、自分たちが今生きている世界がヴァーチャルであることも、時間が永遠にループしていることも気づいていないのです。

 日本の千葉県舞浜市に暮らす十凍京(ソゴル キョウ)は不思議な転校生・ミサキ シズノに誘われ、なぜか廃虚と化した世界でロボットに乗って戦うハメになります。それは舞浜で流行っているゲーム「ペイン オブ ゼーガ」のシチュエーションと同一で、キョウは自分がゲームの世界に入り込んでしまったのだと無理矢理納得します。廃虚と化した世界こそ、現実とも知らずに。

 人類の肉体や意識をデータ化してしまう。量子力学的な要素を取り入れた作品は私の性に合うようで、量子物理学者サム・ベケットの意識データが、時空を彷徨いながら、次々と違う人間の意識と入れ替わってしまう、アメリカのTVドラマ『Quantum Leap』(そのまんま「量子跳躍」。邦題は『タイムマシーンにお願い』。……邦題がどれだけビミョーなものだったかわかるなあ)に引き続き、『ゼーガペイン』にハマるのはもう予定調和だったんですね。

 なににハマったかといいますと、キョウを巡る、幼なじみのカミナギ リョーコと謎の美人転校生シズノの三角関係の顛末などはどうでもよくて、「人間ではない」存在が「人類に肉体を取り戻させたい」と必死になるその健気さ!
 コンピュータ内でつくられた仮想の存在が、つくり手である人間の意思を受けて、ただひたすら人類のデータを守り、やがては人類に肉体を取り戻させようと、生命を賭けるんですよ。自分たちは決して肉体をもった人間にはなれないのに……。あまりにも切なくて、泣けます! お約束のように、二人とも実は敵側の“産物”だったりするし。

 前半の、キョウが「自分が暮らしているこの世界と、戦っているあの世界はどちらが夢なのか」と惑う話がわりとまったり綴られるせいで(そのあたりはゆっくり説明していかないと、視聴者がついていけないという配慮でしょう)、後半がドタバタしてしまった感じは否めません。
 また、前半の伏線回収のみならず、「現実化」の問題や「時間」の問題まで扱おうとしたがために、後半はさまざまなSF的ファクターが詰めこまれすぎている気もします。
 おかげで、最終話まで観終わっても、ビミョーにわからない部分があったりして。私にとっていちばん大きな謎は、月から持ち帰られた舞浜サーバーがどこにあって、どうやって稼動しているのか。……量子コンピュータがないと、サーバーだけでは稼動しないんだよね。舞浜の量子コンピュータもジフェイタス(月)のラボも跡形もなく破壊されたし、キョウのゼーガペイン・アルティールのコンピュータはそこまでの容量はないと思うし。世界に残る都市の量子コンピュータは、それぞれの人類データを守るのに精一杯だと思うし。
 キョウの暮らす千葉県南部のセレブラムの工場内の量子コンピュータを間借中なのかな、と、いちおうは納得していますが、どなたかご存じの方がいらっしゃいましたら、教えていただきたいです。

 こんな感じでちょこちょこと「?」な部分が残ってはいるものの、物語自体はおもしろかったです。
 それに、「光を失った幻体(人類のこと)が、光をまとって戦う。ホロニックローダーは“彼”の発想」たるゼーガペインシリーズのロボットの光装甲はとてもきれいで、今のCG技術があってこその造形だなあとほれぼれ。それ以上に、飛行母艦オケアノスが好きなんですよね。造形はもちろん、ステルス状態から姿を現すときの効果とか、ガスパー砲を発射するときのシークエンスはドキドキします。
 AIのみんなも個性的で、おもしろいですしね。彼らはセレブラムの指揮官・シマ司令がプログラミングしたものですが、さらに学習機能つきなので、「彼らのあの性格は、司令をはじめとするオケアノス乗員の雰囲気を表わしているんだろうなあ」と思うと、微笑ましいです。9隻の飛行母艦それぞれに同じAIが搭載されているらしいので、比べてみたい。オケアノスのAIたちがいちばん人間ずれしているのでは(笑)。

 画面を観ていて「なんだかジブリアニメがちらつくなあ」と思ったら、キャラクターデザインの山下明彦は『千と千尋の神隠し』の原画や『ハウルの動く城』『ゲド戦記』の作画監督を務めた方なのでした。どおりで、シマ司令の顔にハクやハウルが重なるはずだわv

 このところ、あまりアニメをおもしろいと思えなくなって、さすがにそろそろ「アニメ卒業」か!? でも、それって仕事的にヤバいじゃん!と戦々恐々していました。……そんな心配、まったく無用だったね! 『ゼーガペイン』のおかげで、「やっぱりアニメはおもしろい!」となにやら萌えるモノやら燃えるモノやらが復活しました(笑)。

 『ゼーガペイン』のサイトはこちら
 1月には『ゼーガペイン ビジュアルファンブック』(A4判128ページ 予価:税込2,940円)が新紀元社から刊行されるそうです。これで、気になっている謎がいろいろ解けるかなあと楽しみですv




 さて、以下はさらにネタバレしてます。
続きを読む >>
| comments(0) | trackbacks(3) | 18:55 | category: Animation |
# いろいろあるけど、映画『ブレイブ ストーリー』

 新宿ミラノ2にて『ブレイブ ストーリー BRAVE STORY』を観ました。これは宮部みゆきの小説『ブレイブ・ストーリー』を原作としたアニメ映画です。
 実はあまり期待していませんでした。ビッグプロジェクトとして立ち上がったわりには、「華」がない感じがしたんですね。広告宣伝の方向が今ひとつといいますか……。実際に観た感想は……悪くないじゃん!

 まず驚いたのは、千羽由利子(『プラネテス』のキャラデザ)がキャラクターデザインを担当していることは知っていたのですが、キャラクター原案を草ナギタク仁(ナギとタクはPCで出せない漢字)が担当してたってこと! 久しぶりにアニメ作品でお名前を拝見しました。この方が描かれる、自然の時間を止めたような、シンとした沈黙の音が響くようなイラスト、大好きです。

 で、映画本編は……と申しますと、原作小説が長編ですし、宮部さん独特の仕掛けがストーリーに綿密に組み込まれていたと思うので、脚本の方は苦労されたことと思います。その苦労がそのままストーリーに反映されてしまった映画でした。いかにも「苦労してるな」というのが見て取れるのは、いくら子ども向けの映画とはいえ、ちょっと気になるところです。

 しかし脚本の苦しさはあっても、キャラクターのよさが映画を救っていました。
 小学生の亘(ワタル)が、まだ親に依存するしかない、怖いことやわからないことには戸惑い、尻込みしてしまう幼気な少年なんだということがストレートに描かれているのが好感がもてました。ワタルの心情を丁寧に追うことで、彼の行動にうかがえる正義や勇気は、誰かにそうするように言われたものではなく、彼の本能的な部分から無意識に沸き起こってくるものと納得でき、ひじょうに魅力的な子どもになってるんですね。決して完璧ではないけれど、「この子が毎朝、学校に通う姿を見ていたいなあ」と思うような子どもです。

 対して、ワタルのライバルである美鶴(ミツル)は、ワタルとは逆に正義も勇気も失ってしまった少年ですが、その存在はやはり心を惹きました。失って二度と戻らないものを、取り戻したい。そのためにはヴィジョンという世界を壊してもかまわない。その傲慢なやり方の後ろにある悲痛な過去と切実な思いを知ったとき、そして自らの行為に十二分に傷ついていた彼を知ったとき、じ〜んときました。
 過去を知る前から、どう考えても「悪」なんだけど、この子を「悪」とは認めたくないと思わせる、だからといって「いずれ仲間になる」とも思えないミツル。彼はあまり子ども向け作品にはない微妙な立ち位置にあるキャラクターです。そういうキャラクターだからこそ、ワタルの心が揺れ動く。最後には「救いたい」と願う。「たったひとつ」の願いを迷ってしまう。そのあたりに説得力があって、「キャラクターを生かす」とはこういうことだよなあと再確認しました。いや、この前に、いいキャラクターを生かしきれないどころか、殺してしまう作品を観たものですから(苦笑)、ちょっと点が甘くなってるかもしれません。

 ヴィジョンで仲間を得たか、得なかったか。これがワタルとミツルの違いであり、考え方の分かれる基であり、勝敗を分けた原因だったと思います。この部分をセリフで語らせるのではなく、ストーリー展開で理解させたのはすばらしいと思います。
 「仲間」がキーワード。だからこそ、ワタルはキー・キーアに会わなくてはならなかったし、ミーナやカッツに会わなくてはならなかった。それは重々わかるのですが。ただ、この各キャラとの出会いのエピソードが「冗漫だなあ」と感じられたんですよね。脚本より演出の問題かな。ちょっと残念です。

 いちばん惜しかったのは、ラスト。ワタルが小学校に登校したところで、「あれ?」と思いました。映画を観ただけでは、なぜあの現象が起こったのかわかりません。おかげで後味は悪くなかったですが、すごく根本的なところを覆されたようなビミョ〜な気持ちが残りました。う〜ん(腕組み、考え中)。

 ともかく。
 チルドレンズ・アドベンチャーとしては良作です。子ども目線なら、おそらく純粋に楽しめたと思います。不思議な世界で、おもしろい生き物やかわいい女の子、カッコイイお姉さん、自分たちと同じ年ごろの子どもがスクリーンをところ狭しと暴れるんですから。魔法や竜や魔物など、ハデなアイテムも完備してますしね。とはいえ、私の目線は大人のものですので、ぜひお子さんをお連れになって、その反応を見ていただきたいと思います。楽しまれていたようでしたら、お知らせいただければ、私は自分の目の確かさを自負できます(笑)。


JUGEMテーマ:映画
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:20 | category: Animation |
# いち押し! アニメ『蟲師』

 土曜日の深夜(というか、日曜日の未明)にフジテレビで放送されている『蟲師』が好きです。
 「すごく丁寧につくられているアニメ」というのが第一印象。
背景がまるで一幅の絵を見るがごとく美しく、その回の物語に合わせた色調が調整されているところがまたすばらしい。
 また、物語の根幹をなす「蟲」や「光酒」の表現も、原作であるモノクロのマンガ原稿からみごとに色彩化されています。決して原作のもつ味わいや空想の広がりを壊すことなく、色や動き、音をつけている点。細やかな気配りを感じます。

 そして、なんといっても主人公である、放浪の蟲師・ギンコがいいのですよ! 容姿もいいですが、声がいい! 声優ではなく舞台俳優の中野裕斗があてているのですが、間のとり方とか、ギンコの常に抑えめの感情を表現するのがとてもお上手。
「一夜橋」の回の「あー……あせった」の間は、TVの前で暴れたくなるほどツボでしたv
「やまねむる」の回の最後の「ないねえ、残念ながら」は、せつなさやあきらめや「でも、その人に会えて、覚えていられる」ことへのやさしい気持ちとか、いろいろな思いが混じりあっているように聞こえる、名セリフだと思います。

 どの回も好きですが、ギンコの過去が語られる「眇の魚」、ギンコの倫理観が垣間見える「重い実」、ギンコと神の手をもつ少年のやりとりが楽しい「緑の座」、冬のさなかの春景色が美しい(そしてギンコのロマンス未満の思いもちらり)の「春と嘯く」は特に好きですv

 全26話で、今週の土曜日放送分が第16話。TVでご覧になれます方はぜひチェックしてみてください。


JUGEMテーマ:漫画/アニメ
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:35 | category: Animation |
# テーマの軛から解放されたキャラクターたち『ハウルの動く城』

 「インパクトはないけれど、全編に宮崎駿テイストがあふれる佳作」と、どなたかが評した言葉がぴったりですね。これといったテーマもなく、なにがどうしてどうなったというストーリーもないです。いや、あるんだけど、主体がそこにはないと言ったほうがいいでしょうか。
 「荒野の魔女がどうしてそこまでハウルの心臓にこだわったのか」「なぜ心がないはずのハウルが、『守りたい』と思うようになったのか」「ハウルが戦いに出ていたのはいつから? 何のため?」、そして何より「いったいソフィーはいつ老婆から元に戻ったのか? 戻っても髪の色が同じなのはなぜ?」などなど、2回見てもさっぱりわからない点が多々。謎だらけなんですけどね。でも、そんな謎なんて些末なことだと思わされてしまうのが、この映画のすごいところだと思います。いいのよ、ハウルとソフィーが幸せで、マルクルとカルシファーが元気なら、動く城が空を飛んだってかまいやしないと思っちゃうんですよね。

 老婆になったソフィーが言う「歳をとると、こんなに体が動かなくなるものだとは」とか、「歳をとると、悪知恵が働くようになるね」とか、「歳をとると、失うものが少なくなる」とかのセリフがいいんですよね。ソフィーは身体こそ90歳のお婆さんになってしまいましたが、心は17歳のはずなんです。でも、言ってることは、本当に年月を経てきたお婆さんなんですよね。
 ソフィーははつらつとした身体を地味な服で覆い、言いたいことも言わない、いつも職場のみんなから離れて仕事をしていて、目立たないでいることが役割だとでも思っているような少女でした。ところが荒野の魔女に魔法をかけられ、老婆になったとたん、言いたいことを言い、やりたいことをやり、興味を引かれたことには子どものように好奇心を露にします。17歳の少女が、外見が変わっただけでここまで言動が老婆になるの?という疑問はあるのですが。でもソフィー婆さんの婆さんっぷりが愛しいほどステキで、この映画は「お婆ちゃん」のかわいらしさを描くことをテーマにしているのか、と思うほどでした。
 実際、歩き方、考え方、特に荒野の魔女とキングズベリーの王城の階段を登るシーンなど、いかにも「老婆」なんですよ。荒野の魔女といい、『ハウルの動く城』のテーマは「老婆」の描き方だったんではないでしょうか。
 (ブタでかっこよさを表現したり、老婆でかわいさを表現したり、宮崎駿監督の描写に対するチャレンジ精神はおもしろなと思います)。

 そして、やはりビビッときたのはステキでへたれなハウル。「一目惚れ」の感覚を、初登場で味わわせてくれましたv ちなみに木村拓哉の声、よく合っていました。見ている間中、ハウルと木村拓哉が重なることもなく、ハウルはハウルというキャラクターとして、こういう声の持ち主なんだって自然に思えました。
 なんとも愛すべき火の悪魔カルシファー、年寄りのふりをする、でも子どもらしい子どものマルクル、原作と一番大きく変わった案山子のカブ、実年齢に戻され、魔力を奪われた荒野の魔女。どのキャラクターもそれぞれの個性で動いていて、決して物語のために動いているわけではないと思えるところが見事です。そういうふうに動かせるということが、すごいと思います。
 なんだかもう、なにかのテーマを描くためとか、ストーリーの完成度の高さを競うとか、そんな地点を脱却した作品って、こうなるんだあと感心するしかないんですね。

 だから「インパクト」はないんです。やろうと思えば、ハウルの過去とソフィーの関係や、魔王に変わっていくハウルを止めようとするソフィーで、いくらでもドラマチックな話は作れたと思うのです。でも「そうしなかった」。
 ただ、美しいアルプスの自然やアルザス地方の町並みや、石畳を歩く音、風の音、町のざわめきに外国を感じ、「動く城」の造形や動きにおもしろみを感じ、そこで生きるキャラクターたちの息吹を感じ……。
 きっとそれでいい作品なのでしょう。

 観終わったあと、元気が出ました。へたれ気味だったこの時期に観てよかったなあと、そして何度でも観たいなと思います。DVDが出たら買い決定ねv
 そうね。私もハウルの動く城に住んで、ソフィーのタフさやハウルの美貌と微妙なへたれっぷりを目の当たりにしたいなと思うような、親近感を抱かせる作品でした。

 「かんしゃくで死んだ人間はいないよ!」
 ソフィーさんの至言。はい、まったくそのとおりです(苦笑)。

 アニメ作品の部分でいえば、美術は一見の価値ありです。特に背景の描法で描かれながら「動いて」いる動く城や軍艦は、非常にユニークなハーモニーワークだと思います。『風の谷のナウシカ』の王蟲に使われた描法だそうですが、この度の動く城で大成したように思います。「イラスト」が動いて、ガタピシ音を立てて、崩れるという、なんとも不思議な感覚が味わえました。
| comments(2) | trackbacks(0) | 19:20 | category: Animation |
紹介作品の詳細は……
blog内の「画像」あるいは「作品タイトル」をクリックすると、Amazon.co.jpの作品紹介ページに飛びます。
Search this site
Categories
Profile
Recommend
煌 中嶋敦子画集
煌 中嶋敦子画集 (JUGEMレビュー »)
中嶋 敦子
目の覚めるような煌めきの世界が、この一冊に! 『艶』と同じくイラスト一点一点に中嶋氏のコメントつき。『トリニティ・ブラッド』『プリンセス・プリンセス』『逮捕しちゃうぞ』の3作品については、アニメ制作に携わられていたときのエピソードを含めたインタビュー記事も収録。ベテランアニメーターの、作品やキャラクターへのあふれる愛を感じてください。
Recommend
カズキヨネ画集 -斬華-
カズキヨネ画集 -斬華- (JUGEMレビュー »)
カズキ ヨネ
アイディアファクトリー制作の乙女ゲーム『緋色の欠片』『翡翠の雫 緋色の欠片2』などのキャラクターデザイナーであり、イラストレーターでもある、カズキヨネの初画集。華麗で、「萌え」のつまったイラストの一点一点をご堪能ください! 「狐祭り」、最高!! カズキ氏のイラストに対するコメントや、画業についてのインタビューも、ぜひ読んでくださいね。
Recommend
由良 ARTWORKS -LIGHT SIDE-
由良 ARTWORKS -LIGHT SIDE- (JUGEMレビュー »)
由良
『由良ARTWORKS -DARK SIDE-』の下巻。『DARK SIDE』はボーイズラブゲームでまとめましたが、『LIGHT SIDE』は乙女ゲーム『乙女的恋革命★ラブレボ!!』のイラストから男性向け美少女ゲーム、最近のボーイズラブ作品を少々、そして“幻の企画”まで、由良氏がさまざまなジャンルで描かれてきたイラストを網羅。もちろん、コメント付きです! さらに携わられたゲームについて、作品ごとにインタビュー。10時間インタビューの成果や、如何に!? それは本書でご確認ください。
描き下ろしイラストのステキな箱には、『DARK SIDE』『LIGHT SIDE』両方が収納できますv
Recommend
由良 ARTWORKS -DARK SIDE-
由良 ARTWORKS -DARK SIDE- (JUGEMレビュー »)
由良
『冤罪』『帝国千戦記』『絶対服従命令』などのボーイズラブゲーム、およびダイエット乙女ゲーム『乙女的恋革命★ラブレボ!!』のキャラクターデザイナー・原画家で知られる由良氏の初画集です。12月に発行予定の「LIGHT SIDE」と2分冊の上巻。
「DARK SIDE」は『冤罪』『帝国千戦記』『絶対服従命令』の厳選イラストを収録。各作品の最新描き下ろしイラストに、3作品の主人公をシャッフルした「この本だけの」描き下ろし口絵あり。
そのうえ、各イラストに由良氏のコメントありで、内容充実の1冊です!
Recommend
永久保存版 完全ボーイズラブゲームガイド
永久保存版 完全ボーイズラブゲームガイド (JUGEMレビュー »)

1999年の開発開始から、ボーイズラブ(BL)ゲームのすべてを網羅したガイドブック。特に一世を風靡した人気作品はカラーページでクローズアップ! 表紙はBLゲーム原画家である由良&たたなかなの合作描き下ろし。また由良&たたなかな対談や淵井鏑、ゆりの菜櫻のインタビューも収録。
「BLゲームってどんなジャンル?」「BLゲームってどんなタイトルがあるの?」という初心者向けのカタログムック本です。BLに興味のある女性はもちろん、男性の方で「知りたい」という方にもオススメ! ただし肌色多めなので、要注意。
Recommend
TALES いのまたむつみ画集
TALES いのまたむつみ画集 (JUGEMレビュー »)
いのまたむつみ
RPGとして不動の人気を保つ『テイルズ・オブ・デスティニー』『テイルズ・オブ・エターニア』『テイルズ・オブ・デスティニー2』のキャラクターデザインを務めたいのまたむつみの『テイルズ』イラストを網羅。見逃したイラストもきっとココにあるはず! キャラクター造型やイラストの描き方について、コメントやインタビューもバッチリ収録。紙や印刷にもこだわってます。時間をかけただけのクオリティを堪能してください。
Recommend
WOLF'S RAIN SEEKING
WOLF'S RAIN SEEKING "RAKUEN" 川元利浩画集 (JUGEMレビュー »)
川元 利浩
アニメ『WOLF'S RAIN』のキャラクターデザインを務めた川元利浩の初画集。カジュアル、レトロ、ヴェネチアンマスカレード、ネイティヴアメリカンと、さまざまなモードジャンルから組み立てられたキャラクターたち。もちろん、オオカミの造形も要チェック! 川元ファン必携の1冊!
Recommend
艶−中嶋敦子STYLE−
艶−中嶋敦子STYLE− (JUGEMレビュー »)
中嶋 敦子
「艶のあるキャラクター」といえば、今、注目の中嶋敦子! 『逮捕しちゃうぞ』『GetBackers -奪還屋-』ほか、『PEACE MAKER鐵』『王ドロボウJING』など、思わず目も心も奪われる美麗イラストが満載! インタビューや各イラストへのコメントから、そのスタイルを探る!
Recommend
指先にくちづけて―パラケルスス・パラミールム
指先にくちづけて―パラケルスス・パラミールム (JUGEMレビュー »)
伊藤 智砂
16世紀に実在した、稀代の錬金術師にして医学の革命児、パラケルスス(テオフラストゥス・ホーエンハイム)をモデルにした「BL(ボーイズラブ)小説」です。
パラケルススと、彼が作り出した小さなホムンクルス「ヘルメス」は流浪の旅を続ける相棒同士。スイスのバーゼルに立ち寄った彼らは、町の有力者にして出版王フロベニウスに出会います、そのときから、なんだか二人の関係がおかしくなってきて……。
異端視され、火炙りの危険にさらされながらも、ヘルメスを手放せないパラケルスス。そんなパラケルススを守りたいと思うヘルメスは、パラケルススの危機に絶体絶命の手段を取ります。
史実をご存知の方には、パラケルススの「ヘルメス信仰」ってそういうこと? と思っちゃえるかもしれません(笑)。
※ BL的な表現や描写がありますので、苦手な方はご遠慮ください。
Recommend
TVアニメーション鋼の錬金術師コンプリートストーリーサイド
TVアニメーション鋼の錬金術師コンプリートストーリーサイド (JUGEMレビュー »)
スクウェアエニックス
『鋼の錬金術師』アニメ全話を徹底解説! まさにコンプリートな1冊です。特にアニメの『鋼』世界の設定を考察した「『鋼の錬金術師』徹底研究レポート」は、ファン必読です。
Recommend
TVアニメーション 鋼の錬金術師 キャラコレ
TVアニメーション 鋼の錬金術師 キャラコレ (JUGEMレビュー »)
スクウェア・エニックス
アニメ版『鋼の錬金術師』に登場する80余名のキャラクターを一挙にご紹介。各キャラの名セリフや特別な人間関係などを、アニメのシーンもいっしょにピックアップしています。
「このキャラってどういう人物だっけ?」と思ったときに、手軽にチェックできる1冊です。
Recommend
魔探偵ロキRAGNAROK PERFECT GUIDEBOO
魔探偵ロキRAGNAROK PERFECT GUIDEBOO (JUGEMレビュー »)
木下 さくら
『魔探偵ロキ』『魔探偵ロキ RAGNAROK』の世界をキャラクターの魅力分析やストーリーダイジェストで完全ガイド。作品に対するこだわり部分やカラー画集にリンクしたイラストコメントなど、「作者の声」がたっぷりつまった1冊! 描き下しイラストに、学生になっちゃった『ロキ』メンバーのコミック、アニメ版スタッフや声優のコメントもありの「ぎっしり」ガイドブックです。
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Sponsored Links

 レンタル掲示板,レンタル日記,レンタルブログ「大宇宙」