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映画、コミック、本から、お薦めものをピックアップ!

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# 映画『ブロークンシティ』は人間の普通サイズの変化を堅実に描く硬派なサスペンス作品
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 『ブロークン シティ』は派手より堅実を選んだ映画。
 一日一日を金にあくせくしながら暮らし、恋人の成功にもやもやする普通の男が、誇りと正義に目覚めていく。ただし、新たな能力や強力な武器を手に入れるのではなく、あくまで普通サイズで。
 その普通サイズの変化を、マーク・ウォールバーグが細やかな演技で見せてくれます。「ヒーローを探すな。ヒーローは自分の内にいる」という言葉のまさに具現。
 対するラッセル・クロウはなかなかイヤらしい演技。正義の役どころでもどこか含みのある表情をする方ですが、今回はそれがイヤらしく全開! 現職市長として出馬するニューヨーク市長選において手練手管を披露してくれます。

 きれいに事件が片付くところ、脚本は悪くないのですが、気になる箇所がちらほら。
 タガートが警察官を辞めて三流探偵になることになった7年前の発砲事件に恋人のナタリーが関わっているのですが、その真相がわかった時に彼女が絡まないとか。
 市長選対立候補のヴァリアントと彼の右腕のアンドリュースとの信頼関係を最初にしっかり描いてないから、タガートの罪悪感を揺り動かすには少々弱い動機になってないかとか。
 でもこれらはタガートに感情移入してしまったからこそ気になることかもしれません。

 アメリカの市長選挙の仕組みやいかにホモセクシャルについて過敏かなど、知ることも多い映画でした。
 『西部警察』より『特捜最前線』のほうが好みの方に向いてると思います。そして私は『特捜最前線』派(笑)。

 
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# 映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は「新しくて、懐かしい」!
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 今夏の私的大本命『スター・トレック イントゥ・ダークネス』3D吹替版鑑賞。2、3年内に私が観た映画でベストと言ってもいい! もう最高!!
 最初から最後まで息をつかせぬ緊迫感あふれる展開。誰が味方で、誰が敵で、誰が言ってることが正しいのか。謎が謎を呼ぶうちに、自然にそこにあった個々の断片が次第につながっていき、全く違った様相を見せる、その驚きと快感!

 『パシフィック・リム』にさえ中だるみを感じたのに、この作品にたるみは一切なし。前作の『スター・トレック』とも段違いに演出がブラッシュアップされています。前作の、と書きましたが、前作を知らなくても全然大丈夫。もちろん、旧『スター・トレック』を知らなくても充分理解できますし、楽しめます。そのうえで、知っているとさらに楽しい。「こういう事情でクリンゴンとの戦いが始まったのね」と歴史の始まりを感じたり、『スター・トレックII カーンの逆襲』のあの涙のシーンの逆バージョンが見られたり。
 なにより旧『スター・トレック』における「ハリー・ポッター」シリーズのヴォルデモートみたいな「あの人」の登場で、いやが上にも緊張と興奮が高まります!

 さらにさらに旧『スター・トレック』ファンとしてうれしいのは、キャストが全員入れ替わっているにも関わらず、カークもスポックもマッコイもスコットもスールーもウフーラも、キャラクターがきちんと引き継がれていること。まだUSSエンタープライズで調査飛行に出かける前の彼らなので、それぞれが血気盛んで若気が至りまくってるのですが、後の面影がちゃんと見えるのです。
 「新しくて、懐かしい」とはこういうことを言うのでしょう。エンディングで「Space: the final frontier.」のセリフと共にテーマ曲がかかった瞬間、涙が出ました(『風立ちぬ』では泣かなかったのに!)。世の旧作をリメイクして新作を作ろうとしている方全員に、手本として見ていただきたいと思います。

 『イントゥ・ダークネス』の一番のポイントはやはりベネディクト・カンバーバッチの存在感。詭弁を弄し、頭が切れて、感情を出さず、戦闘能力はクリンゴン兵団を一人で倒すほど。最強の敵役はこうあってほしいという願望を体現しています。すごい役者さんが現れたな!
 スクリーンでの鑑賞を絶対推奨!


『スター・トレック イントゥ・ダークネス』サイト:http://www.startrek-movie.jp/index.php

 
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# 映画『パシフィック・リム』で、なにもかもが規格外の3D映像に圧倒される!
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 『パシフィック・リム』3D吹替版鑑賞。これまで3D映画は4作しか観ていませんが、一番、3Dの見え方を理解して効果的に利用している作品という印象をもちました。映像の迫力がすごかったです。ロボットがコンテナトラックつかんで、タンカーつかんで、怪獣をタコ殴り! ソードやビームといった武器もあるのですが、基本はどつく、投げ飛ばす、押さえ込むのロボットVS怪獣ガチンコプロレス戦!(笑)
 私がもつ日本の特撮のイメージには戦いの流れの陳腐さや、中に人が入ってる、人形を撮っている、合成しているとわかるチープさがあって、それがひとつの味だと思っています。
 でも『パシ・リム』はそういう陳腐さやチープさとは無縁。もちろんVFXの進化があってこそですが、さらにロボットと怪獣の戦闘について構図や撮影アングルが目まぐるしく変わって飽きさせません。
 また、カメラ位置がものすごく近い。3Dで観ていると、ライド型ビジュアルシミュレーションのアトラクションに乗ってるような気分になりました。なるほど4DX(体感型)劇場と相性がいいはず。

 なにより「ほう」と思ったのは、ビルの破砕シーンや街の破壊シーンのすぎるくらいの豪快さ。私はさほど映画を観ているわけではありませんが、人間が居住している建物や都市の破壊シーンって、跡形もなくというほどのものは夢だったり、異次元だったり、あり得たかもしれない未来だったり(それを阻止するとか)で、映画内での「現実」についてはどこかやりすぎないリミッターがあるように感じていました。
  でも最近それが無くなったような気がして、『パシ・リム』で確信しました。この映画、容赦がない! 人間の営みを嘲笑うがごとく高層ビルは怪獣の一歩、尻尾のひと振りで破壊されるし、戦闘で投げ飛ばされた怪獣やロボットにまた壊される。ロボットのパイロットも、必殺技を放つ前に強襲されて戦闘不能になったり、海中に押さえ込まれて溺死したり。
 そこに二人の博士絡みのコメディがちょいちょい挟まれるので、深刻になったらいいのか、笑い飛ばしたらいいのか、複雑な気持ちに(笑)。

 あと、パイロットがロボットに搭乗、出撃するまでの作業や衝撃に耐える時の操縦席の機器の動作、怪獣の脳の触手がガラスにぺとりと吸着する様子など、神経質なほど画面に細かく動きが組み込まれているのが、ギミック好きにはたまらん感じ。

 カテゴリー5の怪獣がダイオウイカに見えたり、怪獣の寄生虫がダイオウグソクムシみたいだったりv マコに『銃夢』のガリィを、幼いマコを助けるペントコストに『ゼーガペイン』のシマを感じたり、戦闘中は「猛と舞の 猛と舞の 合体技だダダッダー ガ・キーンアタック!」が頭の中でヘビロテしたり、いろいろ大変な映画でした(笑)。

 そして、ロン・パールマン扮するハンニバルは無双でした。エンドロールが始まっても、すぐに席を立たないように。

 映像のことばかり書きましたが、監督が脚本を務めただけあって、物語もしっかりしてますよ。

 内藤泰弘先生が『パシフィック・リム』、お好きのようですが、確かに内藤作品と親和性が高そう。『血界戦線』をデル・トロ監督が映像化されたら、毎週、映画館に通いそうな予感がします。吹き替えキャストはもちろん、VOMIC版と同じで!(笑)

 『パシフィック・リム』サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/pacificrim/


<追記>
 【独占映像】『パシフィック・リム』のハンニバル・チャウ役:ロン・パールマンの字幕付きインタビュー映像 : Kotaku JAPAN http://www.kotaku.jp/2013/08/prim_ron_perlman.html
 相変わらず、よく響く、存在感のある声をしていらっしゃる。63歳とは……いつまでも活躍していただきたい!

 『パシフィック・リム』のハンニバル・チャウ役のロン・パールマン。彼は『ヘルボーイ』のヘルボーイ役など、ギレルモ・デル・トロ監督作品と縁の深い役者さん。
 私にはTVドラマ『美女と野獣』でリンダ・ハミルトン演じる美女キャサリンを守る野獣ヴィンセント役で印象深いです。彼の「青銅の声」がすばらしいんですよ! 『薔薇の名前』のサルヴァトーレ役も怪演。特殊メイクバリバリの奇矯奇怪な役をやらせたら、パールマンの右に出る者はいないんじゃないかと思います。

 
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# 映画『華麗なるギャツビー』でディカプリオの“純”な演技を堪能する
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 『華麗なるギャツビー』3D鑑賞。原作は、20代に第一次世界大戦を経験し、善悪を含めた従来の価値観に懐疑的になり、生死の実感さえ失った「ロストジェネレーション(失われた世代)」の代表作。
 舞台は、第一次世界大戦が終わり、「永遠の繁栄」と呼ばれる好景気に沸く1920年代のニューヨーク。連日連夜のパーティーに沸く富裕層の中には、禁酒法の下で密造酒やギャングとのつき合いで成り上がる者もいた。一方で広がっていく貧富の格差とモラルの低下。そして1929年の世界恐慌を呼ぶことになる実体のない投機熱。
 堕落した世界の中で純愛を求める男と、純愛を求めながら俗に染まりきった女。『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』的復讐譚の要素を持ちながら、エンディングに漂う虚しさの性質の違いがロマン主義とロストジェネレーションの違いですね。

 ニックって「いい人」だなと、彼を唯一の友にできるくらいギャツビーは純だったのだなと、総じての感想です。

 3Dならではのカッティングもありましたが、全体的には使いこなせてない感がありました(←偉そう)。『レ・ミゼラブル』でも思いましたが、語り手のアップの後ろで事象が動いている様子を見せるって、なんか古くさく安っぽく感じます。それが効果なのかもしれませんが……。

 ひとつ注目したいのは、湾を隔てて立つギャツビー邸とブキャナン邸、それと石炭殻廃棄場にある眼科医院の看板こと「神の目」が異様に大きく映されるんですね。人間が小さな人形に見えて、不自然なんです。
 意図がわかるようでわからないカメラワークに注意して観るのも面白いかも。

 配役はハマっていて、特に桟橋に立つレオナルド・ディカプリオの後ろ姿など、万の言葉よりギャツビーの純粋さを語っていました。
 ディカプリオには『バスケットボール・ダイアリーズ』を観た時に「ものすごく演技力のある俳優さんだな」と感心して以来、その思いはどの作品を観ても変わりません。そろそろ彼のような多層の演技ができる若手の俳優さんが出てこないものでしょうか。

 最後に、この映画、バブル景気を体験した日本人にこそわかるというか、身につまされるものがあると思います。


 『華麗なるギャツビー』サイト:http://www.gatsbymovie.jp/

 
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# フィルム派? デジタル派? ドキュメンタリー映画『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』
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 キアヌ・リーブスが企画・インタビュアーを務め、マーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、デヴィッド・リンチ、クリストファー・ノーラン、スティーヴン・ソダーバーグ、ラナ&アンディ・ウォシャウスキー他、フィルム派、デジタル派、それぞれ話を聞くならこの人だろうと思うメンバーが、「フィルムのファジィな映像が無くなるなんて考えられない」「デジタルになったからこそ生まれた映像がある」等など生々しい声を聞かせてくれます。

 銀塩カメラからデジタルカメラに変わり、被写体深度の浅さ、色味の軽薄さ、輪郭が柔らかく撮れていたものが光と影にくっきり分かれてしまうショック、でもフィルム代や現像代を気にせず何枚でも撮れる経済性、撮ったものがその場で確認できる便利さを感じた方なら、いちいちうなずける話がいっぱい!

 モノクロからカラーへ、サイレントからトーキーへ、そしてフィルムからデジタルへと新たな変革の波を迎えた映画界の今と未来が窺えます。インタビュー映像と具体的な映画映像で構成された99分。映画・映像に興味のある方はぜひ! 12月22日〜渋谷UPLINK、新宿シネマカリテから順次全国公開。


 『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』サイト:http://www.uplink.co.jp/sidebyside/
 
 
<追記>
 昨日(23日)、『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』について本広克行氏のトークイベントに参加。
 『踊る大捜査線』の4本の映画について撮影方法の変遷から「ここだけの裏話」、フィルムからデジタルに移行するきっかけになった『7月7日、晴れ』のこと、フィルムとデジタルの映像の具体的な差異など、興味深い話、面白い話が満載でした(映画監督の近藤玄隆氏がトークショーについて書かれています>http://harubaseballfilm.blog108.fc2.com/blog-entry-227.html )。
 テーマが映画映像だったので『サイコパス』の話は出ませんでしたが、監督が目指されている「還元」のひとつなのかなと思いました。

 
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# 映画『のぼうの城』は滑稽の神髄! 狂言師・野村萬斎の魅力が炸裂!!
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 『のぼうの城』鑑賞。「史実を描いたスペクタクル映画がこんなに面白くっていいの!?」って思いました。個人的に5つ星☆です。

 能楽の中の「狂言」は型で滑稽を表現し、観客を笑わせる芸能。伝統芸能であるからには受け継がれてきた「型どおり」であるべきなのですが、これに演者の茶目っ気が加わったら、もっと面白くなるのにと思っていました。
 そうしたら、いらしたんですねえ。所作も発声も型どおり、しかし顔の部品をすべて使っての表情づくりとわずかな声色の上下変化で、型の滑稽に生の滑稽を被せてくる方が。その方こそ、野村萬斎さん。それも計算づくの無理矢理な笑いではなく品を失わない茶目っ気で誘う笑い。「業平餅」など演者によっては下卑た話になりそうなところ、貴公子・在原業平の無知を萬斎さんご自身が愛おしく笑いつつ、茶目っ気たっぷりに演じてみせて、それが観客の笑いを誘うという、客観的というか理知的というか、そんな笑いの構造が心地いいんです。
 『陰陽師』でも源博雅とのやり取りに混じる萬斎さんの茶目っ気が安倍晴明という人物の味わいになっていたと思います。そんな萬斎さんの茶目っ気の威力と狂言師としての「滑稽」の表現力が炸裂しているのが、『のぼうの城』。

 萬斎さん演じる成田長親は臣下のみならず農民からも「でくのぼう」、略して「のぼう」様と呼ばれる不器用なお人好し。成り行きで忍城(おしじょう)の城守となった彼は、天下統一を目前にした豊臣秀吉の側近・石田三成の軍勢と対峙することに。
三成軍2万余に対して、長親の兵は5百騎。勝敗は決したかに見えたが……。一騎当千の長親軍の武将たちの戦い、若侍・酒巻靭負の知略が冴えた火攻め、そして昨年9月の劇場公開が延期される原因となった水攻めのシーンなど、迫力たっぷり。

 なにより物語が過不足なく紡がれるのがよかったです。長親がどんなに臣下や領民に愛されているか、彼が言うことなら苦笑しつつも「仕方がないな」と協力し、彼が害されれば、怒りをもって一致団結して敵に立ち向かう。一方、三成側は圧倒的な軍勢を誇っていても、三成自身が全軍を掌握しているわけではなく、きっかけさえあれば瓦解する危険を内包している。それらの事情がきちんと描かれるので、結果も納得できるし、後味もいいんです。
 さらに、この戦いを経て長親も三成も一回り器が大きくなったことが、説明的なセリフなどではなく、二人が醸し出す空気で感じられて「おお」と思いました。

 長親の幼馴染で勇将・正木丹波守役の佐藤浩市、彼にライバル心を燃やす柴崎和泉守役の山口智充、酒巻靭負役の成宮寛貴、石田三成役の上地雄輔、豊臣秀吉役の市村正親など配役も意外性があり、現代的なセリフ回しと共に、歴史物というよりスペクタクルなエンタテインメント作品として楽しめました。
  「のぼう様・オン・ステージ」はじめ萬斎さんの演技は問答無用で必見です!


『のぼうの城』サイト:http://nobou-movie.jp/

 
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# 高村薫の原作小説の泥臭く乾いた空気を忠実に映像化! 映画『黄金を抱いて翔べ』
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 『黄金を抱いて翔べ』鑑賞。いやあ、いい映画でした! 高村薫の原作小説を読んだのは20年近く前のこと。いろいろ忘れていましたが、映像を観ているうちに思い出しました。特に幸田とモモちゃんは「ああ、そうそう、こんな感じだった!」と懐かしい人に再会した気分に……。
 幸田は厭世的で、他人の好意も悪意も突っぱねて生きているけれども、人の目を見て話せない人見知りで、どこか人恋し気な孤独感を漂わせていて、つい面倒見たくなってしまう。
 そんな人物がそのまま映像の中で動き回っていて、「妻夫木聡、すごい!」と思いました。失礼ながら、こんな複雑な男を演じられる役者になられるとは、と観ている間中感心していました。
 モモこと楚要煥を演じるチャンミン(東方神起)も、「演じてる」感がそのまま日本にも故国にも生きどころのないモモのぎこちなさやかわいらしさにつながっていて、見事なほどハマってました。
 西田敏行も、ミスリードを誘って仲間どころか観客まで終始不安にさせる役どころにぴったり。浅野忠信も桐谷健太も溝端淳平も、『黄金』の役者さんは皆、役にハマっていてよかったです。

 舞台は大阪。北朝鮮の工作員やヤクザが蠢く闇に片足突っ込みながら、社会から微妙にあぶれた男たちが銀行の地下金庫に眠る240億の金塊強奪を企てる。
 ハードボイルドでも任侠でも人情でもない、泥くさいのに乾いている、この空気感を映像にできるのは井筒和幸監督しかいないだろうなあと思ったら、そのとおり。原作に感じた汗くさい退廃が漂うなか、「人がいない土地」に憧れる幸田の始終が最初から張られた伏線の回収と共に収束して、お見事でした。

 『黄金を抱いて翔べ』は後を引く映画ですね。幸田も北川も金塊強奪の準備を進めるうちに大切なものを失っていくのですが、それでも計画を止めない。その心情は「これだけのものを失ったのだから、せめて金塊だけでも手に入れたい」なのか、「何を失っても、金塊を手に入れる!」なのか。
 どちらにせよ、ひとつことに夢中になった男は無理も道理も眼中になく、周りがどう思おうが「男のロマン」で通してしまうんだなあ。女はそれを呆れながら見守るしかないんだなあと思いました。そういう目線で見られるのは、高村薫の原作小説が女性の目線で書かれているからでしょうね。
 だから登場人物はそれぞれ男くさく泥くさく血なまぐさく湿気ているのに、彼らが発する空気は熱く乾いていて、共感も同情も必要としない、入り込めない距離を感じます。そこに井筒監督の男の目で見た「愛すべき男たち」の像が加わって、独特のバランスをもった映像になったんだろうと思います。面白い!


『黄金を抱いて翔べ』サイト:http://www.youtube.com/watch?v=mrouQhBycaw

 
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# 映画の原点を観る! 『メリエスの素晴らしき映画魔術』&カラー復元版『月世界旅行』
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 17日19:30〜キネカ大森にて『メリエスの素晴らしき映画魔術』&カラー復元版『月世界旅行』を鑑賞しました。『月世界旅行』は活弁士・山崎バニラさんの語り付き! 見逃しそうなポイントを山崎さんが面白おかしく解説してくださって勉強になりました。「近くて遠い〜やっぱり遠い〜?」と楽しい即興歌も!

 『メリエスの素晴らしき映画魔術』は、2001年に発見されたジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』の“幻のカラー版フィルム”を10年の歳月をかけて復元するまでのドキュメンタリー。メリエスの生涯や作品を紹介しながら、映画黎明期の事情や映像復元技術の驚異的な進歩までわかってしまう、映画に興味ある方は必見の作品です。
 これを観ると、『ヒューゴの不思議な発明』がいかに史実に忠実に作られていたかがわかります。メリエスの撮影スタジオや撮影方法の緻密な再現、それを再生の物語に組み込む巧みさ。M・スコセッシ監督の映像マニアっぷりは有名ですが、メリエス愛もすごい!

 映画の歴史は1894年、リュミエール兄弟が発明したスクリーン映写機シネマトグラフに始まります。それに興味を持ったのが、奇術師で劇場経営者でもあったメリエスでした。
 メリエスはある日、映写機の不調でフィルムの回転が飛び、町中を走る馬車の映像が一瞬で葬儀馬車に変わるのを目にします。彼は奇術師の目でこの現象に注目。撮影のタイミング操作で人や物を消失・出現させたり、入れ替えたりするところから、多重露光やストップモーションなど、現在の特殊撮影(特殊効果)の基礎となる技術を次々と思いついては実現していきます。
 これが、メリエスが「SFXの父」と呼ばれる所以です。

 1902年、メリエスはその集大成的映画『月世界旅行』を発表します。30シーン14分に及ぶ、物語のある映画。空前絶後の大作は世界的ヒットとなり、フィルムの1コマ1コマを手作業で彩色した「カラー版」も制作されました。
 しかし、メリエスの映画は発表するや海賊版が横行し、興行的成功が潤沢な資金に結びつかず、やがてワンパターンな作風が飽きられ、時代に取り残されます。負債を抱えて撮影スタジオを売却したメリエスは、300作品にも及んだと言われるオリジナルフィルムをすべて焼却してしまいました。このあたりは『ヒューゴの不思議な発明』にも感動的に描かれています。

 今回、スペインで発見された『月世界旅行』はまさに幻のカラー版。欧米のセピア色に変色した古い絵葉書に、ところどころ淡くピンクやブルー、イエローなどが彩色されているのをご覧になったことがあるでしょう。あれが映像で動いてる感じです。
 100年の歳月でボロボロに劣化したフィルムは、映像復元技術の進化とスペシャリストの登場を待ちながら10年がかりで復元され、メリエス生誕150年に当たる2011年のカンヌ映画祭のオープニングに上映されました。そのフィルムが、11月23日までキネカ大森で観られるというわけです。

  メリエスの『月世界旅行』は、1865年刊行のジュール・ヴェルヌの小説『地球から月へ(月世界旅行)』『月世界へ行く』と、月人のアイデアは1901年刊行のH.G.ウェルズの『月世界最初の人間』をベースにしています。つまり、おそらく世界初の小説の映像化であり、間違いなく世界初のSF映画です。
 ヴェルヌの小説は『海底二万里』(ネモ船長とかノーチラス号とかは小説を知らない人でも知っている名前でしょう)『神秘の島』『十五少年漂流記』(別名『二年間の休暇』)、『八十日間世界一周』など映像化されたものが多いです。最近では『地底旅行』をベースにした『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』が公開されました。でもたぶんヴェルヌの世界観に一番近いのは『月世界旅行』だと思います。


「『メリエスの素晴らしき映画魔術』&カラー復元版『月世界旅行』」サイト:http://www.espace-sarou.co.jp/moon/
「『月世界旅行』&『メリエスの素晴らしき映画魔術』」予告編:http://www.youtube.com/watch?v=mXdL0nC6be8 (月世界人はバルタン星人だった!?(笑))

 
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# 映画『天地明察』は岡田准一のキラキラ瞳と明快さが最高に心地いい!
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 『009 RE:CYBORG』を観たあと、滝田洋二郎監督の『天地明察』を鑑賞。「これぞ明快!」と感嘆しました。
 映像のために物語があるのではなく、物語のために映像がある。過不足ない描写で、「この作品で伝えたいこと」が真っ当に伝わってくる心地よさ。
 登場人物の死を惜しいと涙し、その遺志を引き継ぐ主人公を応援したいと思い、失敗がもたらす絶望、絶望を希望に変える友情、努力を積み重ねた末の成功に、自然に湧き上がる感動。
 やたらに伏線を張らず、張ったものはきっちり回収し、制作側の解説などなくても始終が明らか。これが大衆に向ける作品作りだと再認識。

 安井算哲役の岡田准一の演技も見事でした。関孝和からの算術問題に夢中になる目のキラキラっぷり、勝負に負けて絶望した時の憔悴っぷり。二十年余の歳月をよく演じきられたと思います。
 「満天の星は絶対にスクリーンで!」と思っていたので、上映期間に観られてよかった。「いや〜映画って本当にいいもんですね!」


  『天地明察』予告編:http://www.youtube.com/watch?v=Kb8yz-DNOmA

 
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# 映画『ミッドナイト・イン・パリ』は「ここではない何処か」を探すタイムトラベルComments
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 先週、映画『ミッドナイト・イン・パリ』を観てきました。
 ハリウッドで売れっ子の映画脚本家ギルは、小説家に転身したくて処女小説をこねくりまわす日々。裕福な両親を持つ婚約者のイネスは、脚本家としての成功を捨ててまで小説に固執するギルが理解できません。
 イネスの両親がフランスの企業と提携することになり、ふたりのお供としてパリにやってきたギルとイネス。現代にまで名を残す作家や画家、思想家が集っていた1920年代のパリに憧れるギルは、パリに住んで小説を書きたいと願うのですが、「過去に憧れて、夢ばかり見ている」とイネスにも彼女の両親にも彼女の友人にもバカにされるのでした。
 孤独に夜のパリを歩くギルは、0時を知らせる教会の鐘と共に現れたクラシックカーにパーティーに誘われます。向かった先にはスコット・フィッツジェラルド夫妻やコール・ポーター夫妻がいました。パーティーの主催者はジャン・コクトー。アーネスト・ヘミングウェイの姿もあります。
 憧れの20年代のパリにいることに気づいたギル。彼はパブロ・ピカソと彼の愛人であるアドリアナに出会い、彼女に一目惚れします。しかして、モディリアニ、ブラック、ピカソ、ダリと名だたる芸術家を惹きつけてやまない彼女の「憂愁の瞳」は、ベル・エポック(19世紀末)のパリへの一途な憧れが生んだものでした。
 一方、夜毎出かけるギルに不審を抱いたイネスの両親は、探偵を雇って彼の後を追わせます。

 鑑賞後、幸せな気持ちと一抹の寂しさを感じる、チャーミングな映画。
 本職で成功しながらも、それを低俗と自ら蔑み、小説を書きながらも、批評されるのが恐くて誰にも読ませない、現実よりも過去に魅力を感じる男。他人に自慢できる成功者と婚約するも、非社交的で気の利いたことが言えない、華のない彼に苛立ちを感じる女。どこにでもいそうな人物と、誰もがもつ「ここではないどこか」への憧れ。それをノスタルジックロマンとして描きながら、根底に皮肉を潜ませるところ、サジ加減がさすがのウディ・アレン監督作品!

 時間移動を扱った、立派なSF作品なのですが、奇天烈さのない、むしろ地に足のついたロマン映画と感じてしまうところが不思議な映画。
 あと、パリの映像がね。仕事で4カ月ほどパリにいたことがありますが、その間、私の目に映るあの都市はざらついた、暗めの紗がかったような感じだったんです。TVや写真で見るパリとは違っていて、表現するに近いのはゴッホの「夜のカフェテラス」と思っていたのですが、『ミッドナイト・イン・パリ』のパリこそ、そのもの! あの感覚が映像になっているのに驚き、感動し、ウディ・アレンという映像作家の凄みを感じました。この映画のパリが、外国人の目に映るかの都市です。

 ヒットしてるんですね。ロマン+ノスタルジー+SFのステキな映画だものね。お薦めです!>「『ミッドナイト・イン・パリ』公開1ヶ月で興収2億円突破! ウディ・アレン監督からメッセージが届く」- ニュースウォーカー :http://news.walkerplus.com/article/31313/


『ミッドナイト・イン・パリ』サイト:http://midnightinparis.jp/


 
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永久保存版 完全ボーイズラブゲームガイド
永久保存版 完全ボーイズラブゲームガイド (JUGEMレビュー »)

1999年の開発開始から、ボーイズラブ(BL)ゲームのすべてを網羅したガイドブック。特に一世を風靡した人気作品はカラーページでクローズアップ! 表紙はBLゲーム原画家である由良&たたなかなの合作描き下ろし。また由良&たたなかな対談や淵井鏑、ゆりの菜櫻のインタビューも収録。
「BLゲームってどんなジャンル?」「BLゲームってどんなタイトルがあるの?」という初心者向けのカタログムック本です。BLに興味のある女性はもちろん、男性の方で「知りたい」という方にもオススメ! ただし肌色多めなので、要注意。
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TALES いのまたむつみ画集
TALES いのまたむつみ画集 (JUGEMレビュー »)
いのまたむつみ
RPGとして不動の人気を保つ『テイルズ・オブ・デスティニー』『テイルズ・オブ・エターニア』『テイルズ・オブ・デスティニー2』のキャラクターデザインを務めたいのまたむつみの『テイルズ』イラストを網羅。見逃したイラストもきっとココにあるはず! キャラクター造型やイラストの描き方について、コメントやインタビューもバッチリ収録。紙や印刷にもこだわってます。時間をかけただけのクオリティを堪能してください。
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WOLF'S RAIN SEEKING
WOLF'S RAIN SEEKING "RAKUEN" 川元利浩画集 (JUGEMレビュー »)
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アニメ『WOLF'S RAIN』のキャラクターデザインを務めた川元利浩の初画集。カジュアル、レトロ、ヴェネチアンマスカレード、ネイティヴアメリカンと、さまざまなモードジャンルから組み立てられたキャラクターたち。もちろん、オオカミの造形も要チェック! 川元ファン必携の1冊!
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艶−中嶋敦子STYLE−
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指先にくちづけて―パラケルスス・パラミールム
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伊藤 智砂
16世紀に実在した、稀代の錬金術師にして医学の革命児、パラケルスス(テオフラストゥス・ホーエンハイム)をモデルにした「BL(ボーイズラブ)小説」です。
パラケルススと、彼が作り出した小さなホムンクルス「ヘルメス」は流浪の旅を続ける相棒同士。スイスのバーゼルに立ち寄った彼らは、町の有力者にして出版王フロベニウスに出会います、そのときから、なんだか二人の関係がおかしくなってきて……。
異端視され、火炙りの危険にさらされながらも、ヘルメスを手放せないパラケルスス。そんなパラケルススを守りたいと思うヘルメスは、パラケルススの危機に絶体絶命の手段を取ります。
史実をご存知の方には、パラケルススの「ヘルメス信仰」ってそういうこと? と思っちゃえるかもしれません(笑)。
※ BL的な表現や描写がありますので、苦手な方はご遠慮ください。
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『鋼の錬金術師』アニメ全話を徹底解説! まさにコンプリートな1冊です。特にアニメの『鋼』世界の設定を考察した「『鋼の錬金術師』徹底研究レポート」は、ファン必読です。
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スクウェア・エニックス
アニメ版『鋼の錬金術師』に登場する80余名のキャラクターを一挙にご紹介。各キャラの名セリフや特別な人間関係などを、アニメのシーンもいっしょにピックアップしています。
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魔探偵ロキRAGNAROK PERFECT GUIDEBOO
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木下 さくら
『魔探偵ロキ』『魔探偵ロキ RAGNAROK』の世界をキャラクターの魅力分析やストーリーダイジェストで完全ガイド。作品に対するこだわり部分やカラー画集にリンクしたイラストコメントなど、「作者の声」がたっぷりつまった1冊! 描き下しイラストに、学生になっちゃった『ロキ』メンバーのコミック、アニメ版スタッフや声優のコメントもありの「ぎっしり」ガイドブックです。
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