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映画、コミック、本から、お薦めものをピックアップ!

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# テーマの軛から解放されたキャラクターたち『ハウルの動く城』

 「インパクトはないけれど、全編に宮崎駿テイストがあふれる佳作」と、どなたかが評した言葉がぴったりですね。これといったテーマもなく、なにがどうしてどうなったというストーリーもないです。いや、あるんだけど、主体がそこにはないと言ったほうがいいでしょうか。
 「荒野の魔女がどうしてそこまでハウルの心臓にこだわったのか」「なぜ心がないはずのハウルが、『守りたい』と思うようになったのか」「ハウルが戦いに出ていたのはいつから? 何のため?」、そして何より「いったいソフィーはいつ老婆から元に戻ったのか? 戻っても髪の色が同じなのはなぜ?」などなど、2回見てもさっぱりわからない点が多々。謎だらけなんですけどね。でも、そんな謎なんて些末なことだと思わされてしまうのが、この映画のすごいところだと思います。いいのよ、ハウルとソフィーが幸せで、マルクルとカルシファーが元気なら、動く城が空を飛んだってかまいやしないと思っちゃうんですよね。

 老婆になったソフィーが言う「歳をとると、こんなに体が動かなくなるものだとは」とか、「歳をとると、悪知恵が働くようになるね」とか、「歳をとると、失うものが少なくなる」とかのセリフがいいんですよね。ソフィーは身体こそ90歳のお婆さんになってしまいましたが、心は17歳のはずなんです。でも、言ってることは、本当に年月を経てきたお婆さんなんですよね。
 ソフィーははつらつとした身体を地味な服で覆い、言いたいことも言わない、いつも職場のみんなから離れて仕事をしていて、目立たないでいることが役割だとでも思っているような少女でした。ところが荒野の魔女に魔法をかけられ、老婆になったとたん、言いたいことを言い、やりたいことをやり、興味を引かれたことには子どものように好奇心を露にします。17歳の少女が、外見が変わっただけでここまで言動が老婆になるの?という疑問はあるのですが。でもソフィー婆さんの婆さんっぷりが愛しいほどステキで、この映画は「お婆ちゃん」のかわいらしさを描くことをテーマにしているのか、と思うほどでした。
 実際、歩き方、考え方、特に荒野の魔女とキングズベリーの王城の階段を登るシーンなど、いかにも「老婆」なんですよ。荒野の魔女といい、『ハウルの動く城』のテーマは「老婆」の描き方だったんではないでしょうか。
 (ブタでかっこよさを表現したり、老婆でかわいさを表現したり、宮崎駿監督の描写に対するチャレンジ精神はおもしろなと思います)。

 そして、やはりビビッときたのはステキでへたれなハウル。「一目惚れ」の感覚を、初登場で味わわせてくれましたv ちなみに木村拓哉の声、よく合っていました。見ている間中、ハウルと木村拓哉が重なることもなく、ハウルはハウルというキャラクターとして、こういう声の持ち主なんだって自然に思えました。
 なんとも愛すべき火の悪魔カルシファー、年寄りのふりをする、でも子どもらしい子どものマルクル、原作と一番大きく変わった案山子のカブ、実年齢に戻され、魔力を奪われた荒野の魔女。どのキャラクターもそれぞれの個性で動いていて、決して物語のために動いているわけではないと思えるところが見事です。そういうふうに動かせるということが、すごいと思います。
 なんだかもう、なにかのテーマを描くためとか、ストーリーの完成度の高さを競うとか、そんな地点を脱却した作品って、こうなるんだあと感心するしかないんですね。

 だから「インパクト」はないんです。やろうと思えば、ハウルの過去とソフィーの関係や、魔王に変わっていくハウルを止めようとするソフィーで、いくらでもドラマチックな話は作れたと思うのです。でも「そうしなかった」。
 ただ、美しいアルプスの自然やアルザス地方の町並みや、石畳を歩く音、風の音、町のざわめきに外国を感じ、「動く城」の造形や動きにおもしろみを感じ、そこで生きるキャラクターたちの息吹を感じ……。
 きっとそれでいい作品なのでしょう。

 観終わったあと、元気が出ました。へたれ気味だったこの時期に観てよかったなあと、そして何度でも観たいなと思います。DVDが出たら買い決定ねv
 そうね。私もハウルの動く城に住んで、ソフィーのタフさやハウルの美貌と微妙なへたれっぷりを目の当たりにしたいなと思うような、親近感を抱かせる作品でした。

 「かんしゃくで死んだ人間はいないよ!」
 ソフィーさんの至言。はい、まったくそのとおりです(苦笑)。

 アニメ作品の部分でいえば、美術は一見の価値ありです。特に背景の描法で描かれながら「動いて」いる動く城や軍艦は、非常にユニークなハーモニーワークだと思います。『風の谷のナウシカ』の王蟲に使われた描法だそうですが、この度の動く城で大成したように思います。「イラスト」が動いて、ガタピシ音を立てて、崩れるという、なんとも不思議な感覚が味わえました。
| comments(2) | trackbacks(0) | 19:20 | category: Animation |
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コメント
>ななしのごんさま
コメントをいただき、ありがとうございます。
レスが遅くなりまして、申し訳ございません。

本当にいろいろナゾは残るのですが、そういう辻褄合わせより、作品として楽しいからいいという感じです。
それぞれのキャラクターが活き活きしていて、映像の中で動いてしゃべっているのを見ているだけで、なんとなく幸せな気持ちになりました。
ご賛同いただけまして、うれしいですv
| 雑文堂 | 2005/02/20 7:51 AM |

まさに同感です。
さまざまな疑問もあるけれど、それを描ききるには
映画2時間じゃ無理ですよね(笑)
素直に感動した私でした。
| ななしのごん | 2005/02/15 3:51 PM |

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